ハビリテーションによって新生児脳傷害マウスの歩行は改善する
Yoshiaki Tsuboi, Akira Ito, Takanobu Otsuka, Hideki Murakami, Masato Sawada, Kazunobu Sawamoto
Habilitation Improves Mouse Gait Development Following Neonatal Brain Injury
Prog Rehabil Med 7:20220061 (2022)
歩行発達中の新生児の脳損傷は、神経回路を混乱させ、恒久的な歩行機能障害を引き起こします。 障害のある歩行機能を改善するための介入としてのリハビリテーションは、成人に導入されます。 新生児は成人よりも優れた神経可塑性と再生能力を持っていますが、新生児の脳損傷後の歩行機能に対するハビリテーションの影響はほとんど知られていません。そこで 本研究では、新生児マウスに凍結脳損傷を作成し、その後自律的な四肢の動きを促進するためのハビリテーションを行いました。 歩行解析装置Catwalk XT システムを用いてマウスにおける歩行獲得プロセスを定量的に解析しました。その結果、マウスの通常の歩行発達では、立脚期機能が遊脚期機能よりも遅く成熟することが示されました。 また、新生児の脳損傷により歩行機能の獲得が障害されたマウスにおいて、能動的な四肢の動きを強化するハビリテーションが、歩行機能を含む運動学習を促進することを実証しました。 私たちの調査結果は、マウスの歩行発達に関する研究の基礎を提供し、周産期脳疾患によって引き起こされる歩行発達障害を持つ患者のための新しいハビリテーション戦略の可能性を提案しました。
臨床医師(整形外科)としての生活を10年ほど過ごして、漠然とこのままの医師続けて経験則や他の医師の行った研究報告の後追いで加療をしていくので良いのかという思いが沸き上がり、大学院で研究の世界をのぞいてみたい、そうすることで違う視野がもてるのではないかということで整形外科教室を通じて、澤本研を紹介いただきました。勝手のわかっていない、臨床に時間を割いている何者かわからない人間を受け入れてくださり、丁寧な指導をしていただいた澤本研の皆様には“感謝”という言葉では足らない思いであります。
特に論文作成の段階では、不出来な文章を形になる状況まで持っていっていただき、澤本研でなければ完成することなく終わっていたと思います。論文を出せたという結果そのものも貴重なことですが、それ以上に研究を行い、それを論文という形にする過程で得た経験や思考過程が当初考えていた、自分にとって「新たな視野を得る」ために重要なことであるのだと改めて思います。論文完成に向けて多大なるご迷惑をおかけし、それにも関わらずご尽力いただきました、澤本先生、澤田先生をはじめとする研究室の皆様方、並びに整形外科教室の皆様、誠にありがとうございました。(坪井 義晃)