名古屋市立大学脳神経科学研究所

SAWAMOTO LAB 澤本研究室 - 名古屋市立大学医学研究科脳神経科学研究所 神経発達・再生医学分野

SAWAMOTO LAB 澤本研究室 - 名古屋市立大学医学研究科脳神経科学研究所 神経発達・再生医学分野

出生に伴う構造変換―脳の幹細胞維持の仕組み

 胎児期と成体の神経幹細胞は、形態が大きく異なります。これまで、成体の神経幹細胞が長期にわたって幹細胞性を維持するためには、近傍の血管への接着が重要であることが示されてきました。一方で、胎児期の神経幹細胞がいつ・どのようにして成体型へと構造的に変化するのかについてはこれまで不明でした。魚類では神経幹細胞が成体になっても胎児期とよく似た形態を保つことが知られています。そこで私たちは、胎児が水中である子宮内から空気中の環境へと移行する「出生」というイベントが、神経幹細胞の構造的変換のトリガーとなるのではないかと考え、本研究を行いました。

 本研究では、出生当日に神経幹細胞の突起が切断され、血管に接着して成体型の構造へと変換されることを明らかにしました。さらに、早産ではこの血管への接着が損なわれ、成体期に至っても神経幹細胞の形態異常が残ることを示しました。また、神経幹細胞が存在する脳領域の立体構造も新たに可視化しました。約10年前、私が修士課程の学生として拙い研究発表をしていたとき、その話に真剣に耳を傾けてくださったのが澤本先生でした。澤本研には澤本先生とじっくり研究について語り合えるノートチェックと呼ばれる時間があります。ノートチェックは、私にとって贅沢なひとときでした。本論文の完成に至るまで、澤本先生をはじめ、小児科・新生児科の先生方、そしてラボの皆さまから多くを学ばせていただきました。この経験を今後の研究活動に活かしていきたいと思います。本当にありがとうございました。(竹村晶子)

戻る
澤本研究室

SAWAMOTO LAB

Department of Developmental and Regenerative Neurobiology
Institute of Brain Science
Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences

1 Kawasumi, Mizuho-cho, Mizuho-ku, Nagoya 467-8601, Japan

Copyright © SAWAMOTO LAB
トップへ戻るボタン
Language »