名古屋市立大学脳神経科学研究所

SAWAMOTO LAB 澤本研究室 - 名古屋市立大学医学研究科脳神経科学研究所 神経発達・再生医学分野

SAWAMOTO LAB 澤本研究室 - 名古屋市立大学医学研究科脳神経科学研究所 神経発達・再生医学分野

放射状グリアによる神経再生機構

Jinnou H, Sawada M, Kawase K, Kaneko N, Herranz-Pérez V, Miyamoto T, Kawaue T, Miyata T, Tabata Y, Akaike T, García-Verdugo JM, Ajioka I, Saitoh S, Sawamoto K.
Radial glial fibers promote neuronal migration and functional recovery after neonatal brain injury. 
Cell Stem Cell 22: 128-137 (2018).

 本論文では新生児期のみに備わる脳傷害後のニューロン再生メカニズムを明らかにしました。放射状グリア(Radial glia)は発生期に神経幹細胞としてニューロンを産生し、ニューロン移動の足場として機能しますが、生後すぐに消失するため、生後の機能は 不明でした。本研究ではマウスを  用いて、①新生児期では脳傷害後にradial gliaが維持されること、②新生ニューロンがradial gliaとN-cadherinを介して接着構造を形成することにより、radial glial fiberを 足場にして傷害部へ効率よく移動すること、③その際に新生ニューロンの低分子量 GタンパクRhoAが活性化されニューロン移動が促進されること、④radial glial fiberを人工的に模倣した足場を傷害脳へ移植すると、傷害部へのニューロン移動・成熟が 促進され歩行機能が回復することを示しました。

本論文では澤本研で確立された多彩な実験技術に加え、UCSFで習得したradial glia標識法、バレンシア大学との電子顕微鏡解析、味岡先生(東京医科歯科大)・田畑先生(京大)との共同研究から発展したバイオマテリアル技術がふんだんに使われており、澤本研が築き上げた財産と繋がりが結集されたものと強く感じます。また、自分が これらの共同研究に関われた縁が最終的に大きく返ってきたことも感慨深いです。

院生の時は自分のプロジェクトがどのJournalに載るか想像つかず、D3の終わりにドミネガN-cadherinのadenovirusが完成してニューロン移動が劇的に変化するのを見てようやく「どこかの雑誌には載るかな」と漠然と思った程度でした。リバイズで澤本先生・澤田さんと夜中まで行った8時間ノートチェックもよい思い出です。 最後まで諦めず頑張ったつもりですが、今でも 自分の業績と言うより皆様のお力でアクセプトして頂いたという気持ちが強いです。

本論文のおかげで多くの賞もいただき、夢であった海外留学も実現できました。私のキャリアに大きな影響を与えた貴重な論文です。

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