Cdk5の新生ニューロン移動における役割
Hirota Y, Ohshima T, Kaneko N, Ikeda M, Iwasato T, Kulkarni AB, Mikoshiba K, Okano H, Sawamoto K.
Cyclin-dependent kinase 5 is required for control of neuroblast migration in the postnatal subventricular zone.
J Neurosci 27:12829-12838 (2007).
Cdk5は中枢神経系に広範に発現するリン酸化酵素であり細胞骨格の制御など多数の機能を持っています。この論文ではノックアウトマウスを用いた解析により、Cdk5はSVZ-RMS-OBを移動するニューロンにおいて鎖状構造の形成、移動スピード、方向性、先導突起形成に必要であることを明らかにしました。
リビジョンとラボの引っ越しが重なりましたが、多くの方々のご協力により滞りなく実験が進められました。(廣田ゆき)
コラム ー澤本研におけるスライス培養の歴史ー
澤本研のスライス培養・タイムラプス撮像実験の歴史は、この論文(Hirota et al, J Neurosci, 2007)から始まりました。廣田さんは試行錯誤を繰り返し、大変な苦労をして画像を取得して解析をしていました。この頃は、スライスした脳をメンブレンフィルター上で培養し、LSM Pascalでタイムラプス撮像を行っていました。この方法では、解像度や検出能に限界があったため用途は限られていましたが、脳内を動く細胞を観察できるようになったことで、私達の研究は飛躍的に発展しました。
その後、2009年に購入したLSM710に高機能検出器を搭載し、更に灌流培養システムを導入するに至り、成体・傷害脳・微細構造など観察対象がどんどん広がっていき、現在に至ります。(金子奈穂子)