名古屋市立大学脳神経科学研究所

SAWAMOTO LAB 澤本研究室 - 名古屋市立大学医学研究科脳神経科学研究所 神経発達・再生医学分野

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Wnt-β-cateninシグナルの神経新生への寄与

Adachi K, Mirzadeh Z, Sakaguchi M, Yamashita T, Nikolcheva T, Gotoh Y, Peltz G, Gong L, Kawase T, Alvarez-Buylla A, Okano H, Sawamoto K.

Beta-catenin signaling promotes proliferation of progenitor cells in the adult mouse subventricular zone.

Stem Cells 25:2827-2836 (2007).

 神経再生のアプローチ方法は、脳室下帯から嗅球におけるニューロン新生機構の存在が解明されてきたことにより、神経幹細胞の移植といった方法だけではなく、内在性神経幹細胞を誘導することにより損傷脳の再生を試みるといった方法が考えられてきました。

 脳室下帯には、type B cellと呼ばれる神経幹細胞が存在します。type B cellは増殖能が高い中間的な前駆細胞であるtype C cellへと分化し、type A cellと呼ばれる移動能の高い幼若な新生ニューロンを産生しています。新生ニューロンは、嗅球まで移動して、成熟ニューロンに分化します。

 この論文では、薬理学的手法やウイルスによる遺伝子発現制御技術を用いることによって、神経発生の様々な段階に関与することが知られているWnt-β-cateninシグナルがtype C cellの増殖に寄与し、その結果嗅球で成熟する新生ニューロンが増加することを明らかにしました。(安達一英・荻野崇)

 現在は臨床を中心に仕事をさせていただいておりますが、大学院時代に行わせていただいたこの研究は、現在でも臨床研究を立案し評価するうえで大切となる、基礎的評価並びに考察力をつけることができた、有意義な時間であったと考えております。(安達一英)

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