名古屋市立大学脳神経科学研究所

SAWAMOTO LAB 澤本研究室 - 名古屋市立大学医学研究科脳神経科学研究所 神経発達・再生医学分野

SAWAMOTO LAB 澤本研究室 - 名古屋市立大学医学研究科脳神経科学研究所 神経発達・再生医学分野

嗅球におけるアストロサイト活性化は血流増加を引き起こす

Takashi Ogino, Masakazu Agetsuma, Masato Sawada, Hiroyuki Inada, Junichi Nabekura and Kazunobu Sawamoto.

Astrocytic activation increases blood flow in the adult olfactory bulb

Mol Brain 17:52(2024)

脳で神経活動が生じると、その領域の血管を流れる血流が増加することが知られています。この仕組みは、神経活動に伴って多くのエネルギーを消費する神経細胞への栄養供給にとって有用であると考えられています。神経細胞が興奮すると、そのシグナルは他の細胞によって媒介され、最終的に血管径が変化することで血流が増加します。本研究では、脳血流増加を仲介するアストロサイトの働きに着目しました。
澤本研究室では、嗅球で生じるニューロン新生に着目して研究を行っており、嗅球における新生ニューロンの移動が血流に依存することを最近報告したばかりです。嗅球での血流制御の仕組みを解明することは、ニューロン新生の研究にとっても重要な手がかりとなることが期待されるのですが、皮質など他の脳領域と比べて、嗅球内の血流増加の仕組みは未解明なところが多いです。
嗅覚入力後にアストロサイトが活性化し、嗅球の血流が増加することが知られていましたが、アストロサイトを活性化させるだけで血流増加が生じるどうかは分かっていませんでした。それを調べるために、私たちは、DREADDという人為的に細胞を活性化させる技術を用いて、アストロサイトの活性化を誘導しました。血管上でラインスキャンを行うことで、単位時間あたりに流れる赤血球(図の黒い影)の数を定量しています。これらの方法を用いて実験を行った結果、アストロサイトの活性化が、嗅球内の血流増加にとって十分であることが明らかとなりました。
本研究は、澤本先生、澤田先生のご指導のもと、生理学研究所の鍋倉先生、揚妻先生の多大な援助によって論文としてまとめることができました。感謝申し上げます。(荻野)

戻る
澤本研究室

SAWAMOTO LAB

Department of Developmental and Regenerative Neurobiology
Institute of Brain Science
Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences

1 Kawasumi, Mizuho-cho, Mizuho-ku, Nagoya 467-8601, Japan

Copyright © SAWAMOTO LAB
トップへ戻るボタン
Language »